知恵と戦略を守護する女神

純潔を守った闘争の女神、アテナ

ここまで話をしてきたが、神話とはあまりにぶっ飛んだ内容をしているなぁとつくづく感じてしまう。ヘラの嫉妬による浮気相手への報復、アフロディーテーの奔放さ、アルテミスの純潔という純真無垢さから来る執着、ろくなことがないなぁと感じてしまう人もいるかもしれない。彼女達は一様にして容姿端麗であり、誰にしても美の象徴として崇められている女神であるということは忘れてはならない。そしてその中にもう一人、忘れてはいけない美という象徴を持っている神の存在がいることを。それは知恵と戦略を司り、その性質から戦いを象徴する女神として崇められている『女神アテナ』だ。

筆者的にはこのアテナは何となく勇ましさを兼ね備えた逞しい女神であるという印象を持っている、以前大学受験の書類審査の折にギリシア神話に関するレポートを作成した際に、彼女のことを調べた際には淑女ながら振る舞いから来る精悍さが出ているような表現に、どこか心打たれたものだ。また彼女もその勇敢さから来たのか、アルテミスと同様に純潔を守りぬいた処女神として描かれている。先に話したヘパイトスの子供を育てているが、決してアテナが彼を受け入れて誕生した子供ではないのだが、そういう意味ではアルテミスとはまた違う意味で母性という愛を象徴していると取れるかもしれない。

それではここからはそんなアテナについて考察を加えながら話をしていこう。

美とは力。そして笑顔は美の剣です。

父の頭から生まれた女神

闘争の女神、処女神として描かれることもあるアテナだが、彼女がギリシア神話においてまともなのかと聞かれたら、そんな事あるはずがない。それは彼女の生い立ちから見ると明らかなのだが、結論だけ説明するとアテナはゼウスの頭部から生まれたのだ。何を言っているのだろうと思う人、ギリシア神話に詳しくない人からすれば突拍子もない話だと受け取る人もいるかもしれないが、これは事実だ。誕生の経緯を話すと、とある日のゼウスは頭部から強烈なまでの痛みを感じていた。例えるなら偏頭痛と表現しても相違ない、それこそ削岩機で頭の中を削られているような凄まじい痛みを頭痛持ちの人は経験しているわけだが、そこは神様なのかものすごい事を考えた。あまりの痛さに何か頭にあるのではと、ゼウスはそれを確かめるために斧で自身の頭をかち割ってみる。いやっすでに死亡フラグが立っているだろうといいたくなるが、そこは万能の神様で死ぬはずもなく平然とした。あまつさえ、二つに分かたれた頭部からは黄金の鎧とその手に剣と盾を持った完全武装の乙女、アテナが産声の如く高らかに誕生した瞬間である。

神話がいかに驚天動地ともいえるような展開になっているのかはいうまでもないが、頭が痛いからと頭部を割ることはもちろん、そこから娘が生まれて、さらにその娘は黄金の鎧を身に纏った戦乙女然とした出で立ちで誕生しているのだから、神様は何でもやりたい放題だといえる。元々オリュンポス12神が不老不死の神だったということも関係しているが、さすがに頭を割られたら死ぬのではと思いたくなる。

とにもかくにも誕生したアテナは神々の中でもゼウスからの信頼は絶大だったと言われている、乙女でありながら戦士としての逞しさと絶対神として父であり、そして主神であるゼウスに忠誠を誓っている姿に、父も感銘を受けたと言われている。ただ彼女もま美貌を持った女神であったと言われているため、もしかしたら湧き上がる信頼の中に自分の手篭めにしてしまえという思惑は、ゼウスには合ったのではと疑ってしまう。そうした心配をよそに、アテナは神格も十分に処女神としてはもちろんだが、ゼウスの頭から誕生したこともあって知識に優れた女神として、あらゆる技術に特化していた。それは戦術などの戦争においても遺憾なく発揮され、戦争を象徴するアレスと共に闘争を司る神として崇められるようになる。

アテナの母、知慧を司る女神テティス

父の頭から誕生したアテナだが、確かに父から受けた恩恵もあるが、彼女のその類稀な知識は母から来ている。ヘラではなく、それはかつて忘れ去られたかつてゼウスが唯一無二として愛した女神『テティス』だ。テティスという女神を知らない人もいるだろう、彼女はゼウスがヘラと婚姻する前、最初に契りを結んだ女神だった。彼女の特性は、『世界の全てを臨機応変に洞察することが出来る知識を兼ね備えている女神』を持っていたが、彼女は女児を身ごもると『不吉な予言の成就』を意味していた。そのためゼウスはそのことを恐れた、ただ恐れたまでは良かったのだが、そこで取ったゼウスの行動がテティスを丸呑みしてしまうという捕食行為を選ぶ。

その時テティスは既に妊娠しており、その子供がアテナと言われている。またテティスを飲み込んだことでゼウスが主神と呼ばれるようになる力、世界の本質と善悪を的確に判断することが出来る最高の知慧を獲得する。善悪を的確に判断する、ということは自分の浮気によってヘラがどれだけの苦しみを受けているのか、また自分がいかに外道なことをしているのかも理解していると取れるが。収まる事は無かった。もしかしたら自分は主神だからという自分勝手な理由が働いていたのかもしれない。

こうしてテティスはゼウスに飲み込まれてしまったわけだが、その中で彼女はまだ生きており、お腹の中にいた赤ん坊もそのまま共に成長し、それが頭部へと移動して目覚めの時を待っていたアテナとなったという。彼女が司ることとなった知識は父からの恩恵もあるが、大部分の力は母譲りのものだった。

自尊心が強かったがために

忠誠心が強く、戦士としても才があったアテナ、当然美しさとしても勝っていることは理解してもらえると思う。ただこれだけ才能が備わっていると当たり前のように自分に対してのプライドが高くなるのは自明の理、自身に不遜なまでの自信を持っていたこともあり、自尊心を逆なでされるような行為をされることだけは我慢ならなかった。この時点で美しくないわけだが、そんなアテナに対して真っ向から喧嘩を売った人間の少女がいた。

アラクネと呼ばれた少女は天性な機織の才に恵まれており、彼女の作り出す織物は神秘の境地に達していた。人々は彼女がそうした美しい織物を作れる技術を持っているのはアテナが彼女に加護を与えたからだと噂するが、アラクネにしてみれば自分の力でここまでのことをしていることを神様頼みとされることに我慢ならなかった。そこで踏みとどまる事が出来ないのも業というべきか、遂に彼女はアテナから知識など与えられていない、また自分の創る織物は神が作り出す織物よりも勝っていると断言する物言いをしてしまう。

そのような侮辱ともいうべき高潔なアテナはアラクネの発言に黙ってられず、人間の老婆に化けて彼女の元を訪れると発言を訂正するように警告する。この時に撤回していれば慈悲を見せていたのかもしれないが、アラクネはそのようなことをする必要はないと却下する。もはや言葉では通用しないと本来の姿に戻ったアテナは、真正面からアラクネと織物勝負を行うこととなる。アラクネはアテナの作り出す織物に勝るとも劣らない織物を作り、アテナは益々怒りに打ちひしがれるわけだが、彼女に逆鱗に触れるものをアラクネが作ってしまったことで堪忍袋の緒が切れてしまった。まるで伝え聞いたかのように、アラクネは神々の不貞現場をモチーフにした織物、特に主神という名の浮気男とその行為により嫉妬という大罪にとらわれた女神を表現するものを作ってしまったが大きな間違いとなる。

神を侮辱したとして(全部事実ではあるが)、織物道具『杼』でアラクネを打ち付けて叱り付け、恐れおののいたアラクネは自殺を図ろうとするがさすがにそこまでしては神としての神格に揺らぎが出てしまうため、最後の慈悲としてアラクネを蜘蛛に化けさせるのだった。このエピソードにより、古代ギリシア語では蜘蛛のことを『アラクネ』と呼ぶようになるというエピソードに繋がる。

女神についてもっとくわしく

パルテノン神殿はアテナの純潔を意味している

その後ポセイドンに打ち勝ち、古代ギリシアの世界においてアテナイの守護神として崇められるアテナ。この地に建造され、現代でも世界遺跡として登録されている『パルテノン神殿』が建造される。この神殿はアテナの、永久に男性を拒否した証であり、彼女の純潔と処女性をモチーフにした神殿という意味合いが含まれている。子供は育てているわけだが、襲い掛かってきた危うく貞操を奪われる寸前になるも返り討ちにするなど逞しすぎる女神だと証明された。

目指すは美魔女
「ホームドクター」として長いおつきあいを…。石川で注文住宅を建てるなら金沢にある建築会社【伸恵建設株式会社】新築建設から何十年も住み続けるための、リフォームから小さな修繕まで、我々にお任せ下さい!